みなさんこんにちは!講師の藤嶋です。
9月も終わりを迎えだんだんと涼しくなってきましたね~
気温の変化そしてコロナには十分お気を付けください。
今、私は東北大学の農学部というところに所属しているのですが、皆さんは「農学部」に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?
以前、私は友人から、「農作業でもしているの?」と聞かれましたが、必ずしもそのようなことをしているわけでもありません。
確かに、大学によっては農業や畜産を本格的に学ぶところもありますが、他にも、生物や植物であったり、食品やバイオ、農業における経済的なことを専門に学んだりするところもあります。
ちなみに自分は、農学部の海洋生物科学コースというところに所属していて、海洋のことを専門に学んでいます。
皆さんの中には、えっ?と思った方がいるかもしれませんが、農学部でも海のことを本格的に学べるのです!
幅広い分野を取り扱っているところが農学部の一つの魅力かもしれません。
さて、私が紹介するのは先日行った大学の実習の内容についてです!
今回の実習の目的は、「歯舌形態と食性の関係を学ぶ」なのですが、皆さん「歯舌(しぜつ)」という言葉を耳にしたことがありますか?
実際、私もこの実習を通して初めて知ったのですが、イカや貝といった軟体動物の多くが口の中に硬い舌のような器官を持っています。
下の写真はレイシガイという巻貝の一種から取り出した歯舌です(写真があまり鮮明ではありませんがお許しください)。
この写真だと少しわかりづらいですが、歯舌は、帯状の膜の上に小さい歯が整列していて、これを前後に動かすことによってエサを削り取り、体内に取り込むことができます。
よく砂浜に穴の開いた貝殻を見かけることもありますが、それは肉食性の巻貝がこの歯舌を使って貝を食べた証拠です。
大学の研究施設が女川というところに一つあるのですが、今回の実習は、その研究施設の近くの小屋取浜というところで行いました。
先ほど述べたような歯舌は貝の種類によって大きく形態が異なっているので、様々な種の貝を無我夢中になって採取しました。童心に帰って磯遊びをしているような感覚です笑。
ここ数日間は悪天候に見舞われていましたが、実習当日はすっきり晴れていてとても最高でした!
採取した貝類は、青葉山にあるキャンパスに持ち帰り、保冷庫で保存しておきます。
そして後日、これらの貝類から歯舌を取り出す実験を行いました。
手順としては、貝を沸騰水中で5分間茹で、茹で上がった軟体部からピンセットで歯舌を抜き取ります。
そして取り出した歯舌をスライドガラスに置き、観察しやすくするために、上から飽和水酸化ナトリウム水溶液を滴下します。
これで準備は完了です!
結構簡単な作業に思えるかもしれませんが、歯舌を取り出すのにかなり苦戦しました笑。
実際に取り出した歯舌が下の写真です。
想像以上に長くないですか??
貝によっても歯舌の長さは違いますが、今回実験に用いたレイシガイの歯舌は恐ろしいほど長かったです笑。
前の写真からもわかるように、この細い糸のようなものに付いている歯を使って、岩に付着した藻であったり、他の藻食性の貝類を食べたりしています。
そう思うととても不思議ですよね…
以上が今回の実習でやってきた内容でしたが、いかがだったでしょうか?
普段、見慣れている生物にも面白い特徴であるとか、まだ知られていないような性質があるかもしれません。
これを機に他の生物にも興味を持って頂けたら嬉しいです!
また次回お会いしましょう!お楽しみに!