「わかってほしい」に応える学び場──中核的感情欲求と櫻學舎の教育

こんにちは、櫻學舎です。
塾というと「成績を上げる場所」「受験に合格するための場所」というイメージがあるかもしれません。
確かにそれは間違いではありません。でも、櫻學舎が目指すのはもう一歩深いところ。
私たちが本当に大切にしているのは、「心が動いて、学びが始まる」教育です。
そのためのキーワードとなるのが、心理学の分野で注目されている「中核的感情欲求(Core Emotional Needs)」です。
中核的感情欲求とは?
心理療法の一分野「スキーマ療法」などで用いられる概念で、
人が健やかに成長し、安心して生きていくために必要な5つの感情的ニーズを指します。
感情欲求 | 内容 |
---|---|
① 安全と愛着 | 安心できる人間関係や居場所 |
② 自立と能力感 | 自分で考え、選び、達成できる感覚 |
③ 自己表現 | 自分の気持ちや個性を自由に出せること |
④ 現実的な限界と秩序 | 適度なルールや一貫性のある環境 |
⑤ 承認と価値の感覚 | 自分が認められ、大切にされているという感覚 |
この5つが十分に満たされていると、人は安定し、前向きに物事に取り組むことができます。
それって、塾に関係あるの?──と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、実は私たちが日々向き合っている子どもたちの「やる気が出ない」「勉強が続かない」といった問題の背景には、こうした深い感情のニーズが隠れていることがあるのです。
「見捨てられたくない」から、「頑張りたい」へ
たとえば、ある中学生の女の子がいました。宿題はなかなか提出できない。でも、毎週のチューター面談には欠かさず来てくれる。
じつはその子、「また提出できなかったら嫌われるんじゃないか」と心の中で思っていたんです。
彼女の中核的感情欲求は、「条件なしで受け入れてほしい」「見捨てられたくない」。
その不安を小さな言葉で解いてあげる──「提出できなくても、また一緒にやろう」──それだけで彼女は少しずつ、課題に手をつけるようになっていきました。
「価値のある存在だと思いたい」から、勉強に向き合える
私たちは、生徒一人ひとりに「あなたには価値がある」と伝え続けています。
「よく頑張ったね」だけでなく、「こういう考え方できるの、すごいと思うよ」「その疑問に気づくの、いいね」と、過程や視点そのものを肯定します。
これは、心理学で言う「健全な自尊心を育てる関わり方」。
中核的感情欲求でいうところの、「価値ある存在として扱われたい」というニーズを満たす働きがあります。
テストの点だけでは測れないその子自身の良さに光を当てる。
それが、櫻學舎が目指す教育の一つの形です。
「誰かが見守ってくれている」──だから頑張れる
櫻學舎の特徴でもあるチューター制度。
週1回の面談では、ただ勉強の進捗を確認するだけではなく、「最近、学校はどう?」「部活疲れてない?」と、生徒の話に耳を傾けます。
この時間が、勉強を続ける“心の土台”になっていることも多いのです。
人は、誰かに気にかけてもらっているとき、最も安心し、自分の力を発揮できます。
つまり、「つながっていたい」「安心して頼りたい」という感情欲求が、ここで満たされているのです。
なぜ、学びの場に“感情欲求”が必要なのか
櫻學舎に通う子どもたちの中には、勉強が苦手な子、自信をなくしている子、自分の居場所がないと感じている子もいます。
そうした子どもたちにとって、ただ「点数を取るための勉強」や「受験のための知識詰め込み」では、心のエネルギーは続きません。
むしろ、「わかってもらえた」「安心できた」「ここにいていいと思えた」——そんな体験の方が、子どもの学びを支える“土台”になるのです。
私たちが一人ひとりの生徒としっかり向き合い、チューター制度を導入しているのも、こうした「感情的ニーズ」を満たすための仕組みだと言えます。
「やらされる勉強」から「意味のある学び」へ
中核的感情欲求を無視してしまうと、「勉強=不快な作業」になりがちです。
でもそれを少しずつ満たしていくことで、勉強は「自分を認めてもらえる場所」「努力が報われる体験」に変わっていきます。
これは、一夜にして変わるものではありません。
だからこそ、櫻學舎では「急がずに、だが休まずに」の姿勢で、子どもたちの内面と丁寧に向き合っていきます。
「中核的感情欲求を満たす学び」とは、甘やかすことではありません。
むしろ、安心できるからこそ挑戦できるのです。
「うまくいかなくても大丈夫」と思える環境だからこそ、子どもたちは失敗を恐れず、自分から手を伸ばすようになります。
塾でのちょっとした成功体験や、褒められた一言が、その子の“心のエネルギー”になります。
まとめ:成績よりも「心の栄養補給」が先
目の前の点数も大事。
でも、それだけじゃなくて、子どもたちの心の中にある「わかってほしい」「頼りたい」「認めてほしい」といった声に応えていくことが、結果として大きな成長につながると私たちは信じています。
勉強のやり方がわからない、続かない。
その奥にある「中核的感情欲求」を一緒に探し、満たしていく。
櫻學舎は、そんな学びの居場所でありたいと思っています。
焦らず、でも止まらずに。一歩ずつ、一緒に。