2025年夏期講習のお知らせ詳しくはこちら

【未来素材】光で動く!?アゾベンゼンが拓く新時代の“動く石”とは?

こんにちは、櫻學舎の高橋です。

今回は、ちょっと不思議で、まるでSFの世界から出てきたような「光で動く石」についてご紹介します。

化学が得意な人も、ちょっと苦手だったという人も、「そんなものがあるの?」と驚くかもしれません。ですが、実は高校の化学で習った“あの知識”が、この最先端の技術に繋がっているのです。

シス型・トランス型――ただの暗記じゃなかった!

高校化学で習う「シス型」「トランス型」、覚えていますか?

試験のために仕方なく暗記した人も多いと思いますが、実はこの「形の違い」が科学の未来を変える鍵になるんです。

「シス」は同じ側に、「トランス」は反対側に原子や分子がある構造。

このちょっとした違いが、ある分子の動き方を劇的に変える――そう考えると、ちょっとワクワクしてきませんか?

アゾベンゼンって何?

その“動き”を引き起こす主役が「アゾベンゼン」という分子です。

この分子は、2つのベンゼン環をアゾ基(-N=N-)がつなげており、「トランス型」と「シス型」という2つの形を持ちます。

そして面白いことに、光を当てるだけでその形を切り替えることができるんです。

  • 紫外線 → トランス型 → シス型
  • 青い光(可視光) → シス型 → トランス型

これを「光異性化」と言い、まさに“光で形が変わる”分子なんですね。

光で物が動く!?

このアゾベンゼンの性質を利用して作られたのが、「光で動く石」なんです。

普段、物が動くときって何が必要でしょう?電気、モーター、磁石、熱……。

でもこの石は、光を当てるだけで動くんです。

ちょっと信じがたいかもしれませんが、アゾベンゼンの「形の変化」が、材料全体に波のように伝わり、まるで生き物のように動く。

これまでにない全く新しい動き方なのです。

ミルフィーユ構造で力を伝える

どうやってそんな動きが起こるのか?その秘密は「層状鉱物」

つまり、何層にも重なった構造にあります。

  • アゾベンゼンを各層の間に規則正しく配置
  • 光が当たるとアゾベンゼンが形を変える
  • その変化が上下の層に伝わる
  • 結果、全体として石が「動く」ように見える

この構造はまるで“鉱物のミルフィーユ”。何百万層にも及ぶ積み重ねの中で、小さな分子の動きが、大きな物質の変化へとつながるわけです。

将来の応用は?

この素材はまだ研究段階ですが、将来的にはこんな場面での活用が期待されています。

  • 体内で薬を届ける「ナノロボット」
  • 光で操作できる精密機器
  • 極小サイズのロボットアーム

すべて、「光を当てるだけで動かせる」というシンプルさが魅力です。電気や配線が不要になる時代が来るかもしれません。

ちょっと未来を感じてみよう

今、学校で学んでいる知識が、10年後には世界を変える技術に繋がっている――そう思うと、勉強ってなんだか特別なことに思えてきませんか?

地味に思える構造式も、無意味に感じる公式も、未来では“動く材料”の仕組みになるかもしれない。

科学って難しそう。

でもその中には「知ってよかった!」と思える驚きや発見がたくさんあります。

今回の「光で動く石」も、そのひとつ。

ちょっと先の未来を想像して、わくわくしながら学んでみる――そんな気持ちを持ってくれたら嬉しいです。

次に理科や化学の授業を受けるとき、この話をふと思い出してもらえたら。

光が動力になる未来は、もうすぐそこまで来ています。

シェアしてくれると励みになります!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次