実在した錬金術!化学のルーツをたどる驚きの物語

こんにちは、櫻學舎です。
今回は「錬金術」についてお話しします。
「ハリー・ポッター」や「鋼の錬金術師」など、アニメやファンタジーの世界でよく出てくる“魔法のような技術”ですが、実は錬金術は現実に存在していた科学の前身だということをご存じですか?
この記事では、錬金術の正体や、現在の化学との関係について、エピソードや人物紹介を交えながら、わかりやすく丁寧に解説していきます!
錬金術と化学の関係とは?
かつての科学者は「錬金術師」だった!?
今では「化学(Chemistry)」という学問として確立されていますが、その前身は「錬金術(Alchemy)」と呼ばれていました。
錬金術が活発だったのは、中世から近世にかけてのヨーロッパ。金属を黄金に変える、病気を治す、永遠の命を得る──そんな夢のような目標を、本気で研究していたのです。
当時の「錬金術師」は、現代でいう「科学者」や「化学者」にあたる存在でした。化学薬品の知識や、実験の技術、観察の目などを駆使して、謎に包まれた物質世界を解き明かそうとしていたのです。
錬金術に夢中だったニュートン!?
科学の歴史に名を残す人物、アイザック・ニュートン。 「万有引力の法則」や「運動の法則」で有名な彼も、実は若い頃から晩年にかけて錬金術の研究に没頭していたことが知られています。
ニュートンは、膨大な錬金術のノートを残しており、その中には「賢者の石」の作り方が記されたページも存在していました。
2016年にはその一部が公開され、ナショナル・ジオグラフィックなどでも大きく取り上げられました。
ニュートンは実際に水銀を使った実験を繰り返しており、長年の接触によって水銀中毒だったともいわれています。
錬金術ってどんな技術?
錬金術の目的は「賢者の石」!
錬金術の最大の目的は、「賢者の石(Philosopher’s Stone)」と呼ばれる伝説の物質を作り出すことでした。 この賢者の石には、次のような“効果”があると信じられていました。
- 鉛などの普通の金属を黄金に変える
- 老化を止め、不老不死になる
- どんな病気も治すことができる
もちろん、現代の科学ではこのような物質は確認されていませんが、当時の人々は本気でその存在を信じて研究を重ねていたのです。
危険な実験も…水銀を飲んでしまう人もいた!?
中世ヨーロッパでは、水銀を材料に賢者の石を作ろうとする試みが数多く行われました。しかし水銀は非常に有毒な金属です。
気化した水銀を吸ったり、誤って飲んでしまったことで、多くの錬金術師が健康を害しました。
ニュートンも例外ではなく、長年の水銀との接触が彼の体や精神に悪影響を与えた可能性があるとされています。
錬金術が化学にもたらした大きな功績
「錬金術って結局、夢物語でしょ?」と思うかもしれません。
でも実は、私たちが今学んでいる化学の基礎は、錬金術の研究から生まれたものがたくさんあるのです!
たとえば…
- 塩酸や硫酸などの強酸が発見されたのは、錬金術の研究中のことでした。
- ガラス器具を使った蒸留法やろ過などの手法も、錬金術師たちが使っていた技術です。
- 鉱物の成分を調べるために、さまざまな試薬が開発されました。
つまり、錬金術の中で生まれた知識や道具が、のちに実験科学としての化学へとつながっていったのです。
錬金術から現代の化学へ:変わったのは何?
再現性のある「科学」へ
16〜17世紀頃、錬金術の神秘的で不確かな面に対し、「もっと確実に、誰がやっても同じ結果が出る方法が必要だ」という考えが広まりました。
この考えを元に、観察や実験の結果を記録し、再現できる手順にまとめるという手法が発展し、それが今の化学のスタイルになっていきます。
錬金術の精神は今も生きている
錬金術師たちは、どんなに無謀と思われる目標に対しても、知識と実験で立ち向かいました。
現代の科学者も、たとえばがんの治療法を探したり、宇宙の始まりを探ったりと、未知の世界に挑戦し続けています。
そんな意味では、「錬金術の夢」は、形を変えて今の科学に受け継がれているとも言えるでしょう。
科学の原点にある「夢と探究心」
錬金術は「金属を黄金に変える」という夢の技術でしたが、そこにあったのは科学への純粋な好奇心と探究心でした。
そして、今日私たちが学んでいる化学は、そんな錬金術師たちの研究と失敗の積み重ねによって生まれたのです。
現代の化学者たちも、過去の錬金術師から見れば「魔法使い」に見えるかもしれませんね。
勉強が難しいと感じたときこそ、「なぜこうなるのか?」という好奇心を大切にして、科学の面白さを見つけてみましょう!
錬金術の話をきっかけに、もっと化学に興味を持ってもらえたら嬉しいです!