【弓道が語源】実は知っている?私たちが日常で使っている弓道由来の言葉たち実は弓道が由来の言葉!

こんにちは!櫻學舎講師の山口です。
今回は、僕の趣味である「弓道(きゅうどう)」にまつわる言葉の中から、実は私たちが日常的に使っている“弓道が語源の日本語”について紹介します。
スマホやPCを通じて目まぐるしく言葉が流れる現代ですが、古くから伝わる日本の文化、そして弓道に由来する言葉たちは、今もなお私たちの暮らしの中にしっかり根付いています。
この記事を読むことで、語彙力が上がるだけでなく、言葉の背景にある文化や思想を知るきっかけにもなるはず。国語の学習にも通じる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください!
的を射る(得る)|「核心を突く」は弓道から来ていた
まずは最もわかりやすい弓道由来の言葉、「的を射る(または“的を得る”とも)」からご紹介しましょう。

言葉の意味
「的を射る」とは、「物事の核心を突く」「適切なポイントを押さえる」という意味で使われます。
たとえば、「その意見は的を射ているね」といった形で使います。
弓道における“的”
弓道は、遠くに設置された“的”に向かって矢を放ち、どれだけ正確に命中させられるかを競う競技です。
つまり、「的に当てる=正確に狙いを定める」という行為が、比喩として転じて「要点を突く」「正解に近づく」といった意味で使われるようになったのです。
手の内を明かす/隠す|“秘伝の技”が意味の由来
続いては「手の内を明かす(または隠す)」という言葉です。
現代的な意味
「手の内を明かす」…自分の考えや作戦・戦略を相手に見せること。
「手の内を隠す」…自分の作戦・本音を明かさずに、あえて秘密にしておくこと。
たとえばビジネスでも、「この段階でまだ手の内は明かせない」といった表現で使われます。
弓道における“手の内”
弓道において「手の内」とは、弓を握る手の形や動作全体の技術を指します。
この「手の内」は極めて重要で、矢の飛び方や的中率を大きく左右します。構造的に、弓は何もしなければ矢が右に逸れてしまうのですが、「手の内」を整えることでそれをまっすぐ飛ばせるようになるのです。
なぜ“明かさない”のか?
手の内の技術は、各流派の「秘伝」として門外不出とされていたため、戦術を相手に悟られないよう、あえて「明かさない」ものだったのです。
そのため、戦術・戦略を「明かす」「隠す」という現代語の表現は、この弓道における技術的な背景から来ているのです。
~なはず|“うまくいって当然”の前提が語源に
「~なはず」という言葉も、弓道に由来する言葉です。

言葉の意味
「うまくいくはず」「彼が来るはずだったのに」など、“そうなるのが当然・自然である”という意味合いで使われる表現です。
弓道の“筈(はず)”
この「はず」は、弓道で使う“矢の後端部分”=「筈(はず)」から来ていると言われています。
筈は、弓の弦にはめて矢を固定するための部品です。筈がしっかり弦にはまっていなければ、矢はきちんと飛びません。つまり、「筈と弦が正しく噛み合っていること」が成功の前提条件なのです。
「~なはず」は当然性の表現
この“前提条件が整っている=当然うまくいく”という感覚から、「~なはず」という言葉が生まれました。
私たちは普段、何気なく「○○なはず」と使っていますが、その裏には、弓道の技術に対する精密な認識と信頼があったのです。
まとめ|日本語と日本文化をつなぐ“語源の旅”
今回は、以下のような弓道に由来する言葉を取り上げました。
言葉 | 現代での意味 | 弓道での由来 |
---|---|---|
的を射る | 核心を突く、正確に目標をとらえる | 的に矢を正確に当てる競技 |
手の内を明かす | 戦略や本心を見せる | 技術や握り方を敵に見せるか否か |
~なはず | 当然そうなる前提がある | 筈(はず)という矢の部品がきちんと弦に噛む |
これらの言葉は、弓道という一つの文化を土台に生まれたものであり、今なお私たちの言語生活の中で息づいています。
言葉の背景を知ることで、世界が広がる
勉強にしても、言葉の学びにしても、ただ意味を覚えるだけではなく、その背景や文化的なルーツを知ることで、より深い理解が得られます。
そして自分の趣味や興味が、語源や言葉の由来に関わっていると気づくと、学ぶこと自体がとても楽しくなってきます。
ぜひみなさんも、自分が使っている言葉の由来を調べてみてください!