「何から勉強すればいい?」と悩む君へ|優先順位のつけ方と整理のコツ

進学校に通う生徒や受験生から、よくこんな相談を受けます。
「宿題にテスト勉強、模試の直し、苦手分野の復習、予習…全部大事そうで、結局どれからやればいいのかわかりません。」
実際、やらなければならないことを頭の中で抱え込んでいるだけでは、優先順位がつけられず、気づけば時間だけが過ぎてしまうことも少なくありません。
でも安心してください。勉強は「全部を一気にやる必要」はないのです。大切なのは、やるべきことを整理して優先順位をつけること。
それだけで勉強はグッと進めやすくなり、気持ちも軽くなります。
この記事では、実際に生徒とのやり取りを例にとりながら、「何から勉強を始めればいいのか分からない」という悩みを解消する方法を解説します。
実例紹介|進学校のAさんの悩み
実際に、進学校に通うAさんからこんな相談を受けました。

「先生、何から勉強すればいいのかわかりません…」
話を聞いてみると、Aさんは頭の中に「やらなければならないこと」がたくさん浮かんでいるものの、それをどう整理すればいいのかわからず立ち止まってしまっていました。
- 学校で今やっている単元の復習と演習
- 模試で間違えた問題の解き直し
- 苦手単元の復習
- 新しい内容の予習
- 学校の宿題
- 来週の小テストの勉強
どれも確かに大切な勉強です。しかし、こうして並べてみると「全部同じくらい大事」に見えてしまい、結果としてどこから手をつければいいのかわからなくなっていたのです。
そこで私はまず、「その中で一番やらなければいけないものは?」と聞いてみました。
するとAさんは「明日までの宿題」と答えました。これは当然の優先事項です。では次に数学に絞ってみると、「模試の直し」と答えました。しかし理由を深掘りしていくと、「そもそも学校の授業で今習っている単元が理解できていない」と気づいたのです。
この気づきによって、Aさん自身が「まずは授業の予習と復習を優先すべきだ」と納得できました。
このエピソードからわかるのは、「やることが整理されていないと、優先順位を見失ってしまう」ということです。
次の章では、なぜ多くの生徒が優先順位をつけられないのか、その背景を掘り下げていきます。
なぜ優先順位が決められないのか?


多くの生徒が「やることはあるのに、何から始めればいいかわからない」と感じるのには、いくつかの理由があります。
① すべてを“同じ重さ”でとらえてしまう
宿題もテスト勉強も模試直しも、どれも「やらなきゃ」と思うと、すべてが同じくらい大事に見えてしまいます。すると、「どれからやるべきか」の判断ができず、気づけば何も手をつけられない状態に陥ります。
② 期限と重要度がごちゃごちゃになっている
「明日の宿題」と「夏休み中にやるべき復習」が頭の中で同じリストに入ってしまうと、緊急度と長期的な重要度が混在して優先順位をつけにくくなります。整理ができていないために、短期的にやるべきことを後回しにしてしまうケースも少なくありません。
③ 「目的」と結びついていない
勉強を「ただの作業」としてとらえていると、「なぜそれをやるのか」の意味づけがなく、優先順位の基準がなくなります。目的意識が薄いと、つい取り組みやすいものや気分で勉強内容を選んでしまうのです。
④ 漠然と考えているだけで整理していない
頭の中で「やることが多い」と思っているだけで、紙に書き出す・リスト化するなどの整理をしていないと、余計に混乱します。結果として「やらなきゃ」と思う気持ちだけが膨らみ、行動に移せなくなります。
つまり、「優先順位を決められない」というのは、やる気の問題ではなく、整理の仕方を知らないことが原因なのです。
次の章では、優先順位をつけるための基本ステップを具体的に紹介します。
優先順位の整理法【基本の3ステップ】
「やることが多すぎて何から手をつければいいかわからない」という状態を解消するには、頭の中で考えるのではなく、整理の型を持つことが大切です。ここでは誰でも実践できる「基本の3ステップ」を紹介します。
STEP1:やることをすべて書き出す
まずは頭の中でモヤモヤしているものを、紙やノートに全部書き出してみましょう。
宿題、テスト勉強、模試直し、予習、苦手単元の復習…どんなに細かくてもOKです。
書き出すことで「やることが曖昧な不安」が「目に見えるリスト」に変わり、気持ちが整理されます。
STEP2:期限があるものを先に並べる
次に、そのリストの中から「今日やるべきこと」「明日までのこと」など、期限が明確なものを優先的に置きます。
【例】
- 明日の数学の宿題
- 今週の小テスト勉強
- 提出日が決まっているレポート
「締切のあるタスク」を先に片づけるだけで、焦りが減り、余裕が生まれます。
STEP3:授業理解につながるものを次に置く
期限つきの課題が終わったら、次は学校の授業理解に直結するものを優先しましょう。
授業が理解できれば、後の復習や定期テストの勉強がぐっと楽になります。
【例】
- 今習っている単元の復習
- 授業で理解できなかった部分の解き直し
- 次回の授業の予習
この「授業に追いつく・先取りする」習慣がつけば、勉強の効率は大きく改善します。
この3ステップを踏むだけで、「やることが多すぎて動けない」という状況から、「まずこれをやろう」と行動できる状態に変わります。
次の章では、さらに効率よく整理するための工夫として「教科ごとに分けて考える方法」を紹介します。
教科ごとに分けて考えると整理しやすい


勉強の優先順位をつけるときにありがちなのが、「全部の教科を一度に考えてしまう」ことです。国語も数学も英語も理科も社会も…と頭の中で一気に思い浮かべてしまうと、結局どれからやればいいのかわからなくなり、混乱が増してしまいます。
そこでおすすめなのが、教科ごとにタスクを整理する方法です。
例:数学だけに絞って考える
- 明日の宿題(優先度:最優先)
- 今やっている二次関数の復習(優先度:授業理解に直結)
- 模試で間違えた関数の問題の直し(優先度:中期的に必要)
- 苦手な図形の証明(優先度:長期的に取り組む課題)
こうして1教科だけに絞ると、「今すぐやるべきこと」と「後でやるべきこと」が自然と見えやすくなります。
メリット①:頭がスッキリする
全教科を一気に考えるのではなく、「数学だけ」「英語だけ」と順番に区切ることで、混乱せずに整理できます。
メリット②:具体的な行動に落とし込みやすい
「英単語を30個覚える」「漢字プリントを仕上げる」など、実行可能なタスクに細分化しやすくなります。
ポイント:全体と部分を行き来する
最初に全教科のやることをざっと書き出したら、そのあとで教科ごとに整理するのがおすすめです。
全体像を見失わずに、同時に実行可能な行動レベルまで落とし込むことができます。
やるべきことを「教科ごと」に分けて考えるだけで、優先順位がより明確になり、勉強に取りかかりやすくなります。
次のセクションでは、優先順位が見えることで勉強の行動や気持ちがどう変わるのかを確認していきましょう。
優先順位が見えると「行動」につながる
「やらなきゃいけないことは分かっているのに、手が動かない…」
多くの生徒が抱えるこの悩みの正体は、実は“やる気不足”ではなく、優先順位が整理できていないことにあります。
「曖昧な不安」が「具体的な行動」に変わる
頭の中で漠然と「宿題、テスト、模試直し…」と考えていると、全部が同じように重たく感じてしまいます。
しかし、優先順位を整理して「まず宿題、次に授業の復習、そのあとに模試直し」と順番を決めてしまえば、気持ちが軽くなり、「とりあえずここからやろう」と行動に移せるようになります。
行動のハードルが下がる
優先順位を決めることで、やるべきことがリスト化され、勉強が“選択”ではなく“実行”になります。
「今日はこれをやる」と決まっていれば、迷う時間やストレスが減り、集中して取り組めます。
生徒Aさんの気づき
冒頭のAさんも、最初は「模試直しも苦手克服も全部大事」と混乱していました。
ところが、「まず宿題、その次に授業で習っている数学を理解する」と具体的に順番が見えた瞬間、自分から「先にそっちやらなきゃ!」と行動に移すことができました。
勉強が進まないのは「気合いが足りないから」ではありません。
優先順位が見えると、勉強は自然と“やらされるもの”から“自分で進められるもの”に変わります。
まとめ|「全部やろう」じゃなく「順番を決めよう」


勉強が進まないとき、多くの生徒は「やる気が出ないから」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、やる気そのものよりも 「どこから手をつければいいかが整理できていない」こと が原因であるケースがほとんどです。
【今日のポイント】
- 「やること」はまず全部書き出す
- 期限があるものを最優先にする
- 次に「授業理解につながるもの」を優先する
- 教科ごとに整理するとより具体的に見えてくる
この流れを押さえれば、漠然とした不安はなくなり、自然と行動に移せるようになります。
大切なのは「全部を完璧にやろう」とすることではありません。
「順番を決めて、一つずつ片づけていく」ことこそ、勉強を継続できる最大のコツです。
やることが山積みで立ち止まってしまったときは、深呼吸してノートにやることを書き出し、順番を決めてみましょう。
その瞬間から、勉強は「重荷」ではなく「進められるタスク」に変わっていきます。
「全部やろう」ではなく、「順番を決める」。
それだけで、あなたの勉強は驚くほどスムーズになります。