受験勉強のやる気が出ないときに試したい5つの工夫と習慣づくりのヒント

「今日はどうしてもやる気が出ない」「なんだか集中できない」――受験勉強を続けていれば、そんな日があるのはごく自然なことです。大切なのは、気分の波に振り回されるのではなく、うまく付き合っていくこと。そして、無理に根性で乗り切ろうとするのではなく、日々の中に“やる気を保つ工夫”を取り入れていくことです。

この記事では、塾で実際に多くの生徒たちが実践している「モチベーションの保ち方」をご紹介します。目の前の勉強に前向きになれないとき、自分に合った工夫が一つでも見つかれば、また一歩前に進めるはずです。

目次

やる気が続かないのは“普通のこと”

悩んでいる女子中学生

「やる気が出ない」「集中できない」──そんな自分を責めていませんか?でも実は、やる気や集中力に波があるのは、誰にとっても“ごく普通のこと”です。決して、意志が弱いからでも、努力が足りないからでもありません。

私たちの脳は、ずっと高い集中を保ち続けられるようにはできていません。心理学では、やる気や集中力は“資源”のようなものだと考えられています。つまり、無限ではなく、使えば消耗していくもの。疲れやストレス、睡眠不足や空腹など、ちょっとしたことで簡単に揺らいでしまうのです。

特に受験勉強のように、長期間にわたって努力が求められるものでは、一日中ずっとやる気を維持すること自体が、そもそも無理な話なのです。

だからこそ、「今日はやる気が出ないな」と感じたときは、自分を責めるよりも、「そういう日もあるよね」と受け止めることが第一歩。むしろ大切なのは、やる気に頼らなくても前に進めるような“しくみ”を日常に作っておくことです。

次は、そんな「やる気がない日」でも勉強を続けられる、実際の工夫を紹介していきます。

やる気を保つための5つの工夫

赤本を持つ女子高生

やる気が自然と湧いてくる日ばかりではありません。そんなときに役立つのが、「やる気がなくても動けるしくみ」を日常に取り入れること。ここでは、塾でも多くの生徒が実践している、“モチベーションを保つための5つの工夫”をご紹介します。

①小さな目標を積み重ねる

「志望校に合格する」という目標は大きくて立派ですが、それだけでは日々の勉強と結びつきにくいことがあります。そんなときは、「今日は英単語を30個覚える」「数学の問題を1ページ解く」といった“すぐに達成できる目標”を立ててみましょう。

小さな成功体験を積み重ねることで、自信が育ち、「もう少し頑張ろう」という気持ちが自然と生まれます。やる気は、達成感から生まれることも多いのです。

大きなゴールは細かく分解して、「今できること」に落とし込むのがコツ。小さくても「やり切った!」という感覚が、自然と次のやる気を生み出します。

②勉強記録をつける

「自分がどれだけ頑張ったか」を“見える化”することで、やる気の維持につながります。ノートや手帳、アプリなどを使って、勉強した時間や内容を記録してみましょう。

たとえ1日10分でも、毎日の記録が積み重なれば「これだけやってきたんだ」という実感になります。前の自分と比べて成長していることが、何よりのモチベーションになります。

【ポイント】
完璧を目指さず「できたことを記録する」ことに意味があります。記録を続けると、「意外と頑張れてる自分」に気づけます。

③ごほうびを用意する

「この問題集が終わったら好きなお菓子を食べる」「模試が終わったら映画を観る」など、自分にとっての“楽しみ”をごほうびに設定してみましょう。

脳は「快感」と「達成」を結びつけることで、やる気を生み出します。ポイントは、達成可能な範囲で小さなごほうびを設定すること。やる気が出ない日でも、「ごほうびのために少しだけやってみよう」と気持ちを切り替えやすくなります。

【ポイント】
ごほうびは「勉強の後」に。「やったら○○できる!」という仕組みにすることで、自然と集中力もアップ。ごほうびが大きすぎると逆効果なので注意。

④仲間や先生と励まし合う

勉強を一人で続けていると、孤独を感じやすくなります。そんなとき、同じ目標を持つ仲間や、応援してくれる先生の存在は大きな支えになります。

塾に通っている生徒の中には、「自習室に行くだけでも気持ちが切り替わる」「先生に声をかけられるだけでやる気が出る」と話す人もいます。誰かとつながっている感覚が、継続のエネルギーになるのです。

【ポイント】
「一緒に頑張る空気」に身を置くことがモチベーションに。わからないことを質問したり、雑談したりするだけでも前向きになれることがあります。


⑤「なぜ勉強するのか」を思い出す

やる気が出ないときこそ、自分に問いかけてみましょう。

「どうしてこの高校に行きたいと思ったのか?」
「将来、どんな仕事をして、どんなふうに生きたいのか?」

自分の中にある“原点”に立ち返ることで、「もう一度頑張ってみよう」という気持ちがよみがえることがあります。書き出して目に見えるところに貼っておくのもおすすめです。

【ポイント】
「なんとなく」では続きません。できれば紙に書いて、見えるところに貼っておくのがおすすめ。言葉にすることで、気持ちがぶれにくくなります。

次は、こうした工夫を日々の習慣として定着させるための「環境づくり」や「リズムの整え方」についてご紹介します。やる気に頼らなくても動ける状態を、生活そのものに組み込んでいきましょう。

モチベーションを支える習慣の整え方

自宅で勉強する女子高生

どんなにやる気を保つ工夫をしても、それだけでは毎日の勉強を安定して続けるのは難しいものです。実は、モチベーションを維持するために最も効果的なのは、「やる気に頼らずとも机に向かえる習慣」を日常の中に作っておくことです。生活のリズムや勉強環境、行動パターンを整えることで、自然と勉強に取り組める状態をつくることができます。

生活習慣を整える

まず土台として大切なのが、睡眠・食事・運動といった生活リズムです。睡眠時間が不足していたり、栄養が偏っていたりすると、集中力や判断力が落ち、どれだけモチベーションが高くても長続きしません。

特に睡眠は、記憶の定着にも深く関わっています。夜遅くまでダラダラ勉強するよりも、23時前に寝て翌朝すっきり起きた方が、結果的に学習効率は高まります。また、朝食をしっかり取ることで、1限目から頭が働き、1日のスタートもスムーズになります。通学や塾への行き帰りに少し歩くだけでも、血流がよくなり、気分のリフレッシュにもつながります。

「やる気が出ない」の多くは、実は体調や生活リズムの乱れから来ていることも少なくありません。まずは、自分のコンディションを整えることから始めてみましょう。

勉強に集中できる環境をつくる

次に大切なのが、勉強する「空間」の整備です。部屋が散らかっていたり、スマホが手元にあったりすると、集中しようと思ってもすぐに気が散ってしまいます。逆に、机の上をすっきりさせ、余計なものを視界からなくすだけで、自然と集中モードに入りやすくなります。

自宅で集中できない場合は、塾の自習室を活用するのも効果的です。周りに同じように頑張っている人がいる空間は、自分も「やらなきゃ」という気持ちを後押ししてくれます。

また、志望校のパンフレットや「合格したらやりたいこと」を書いたメモを机の前に貼っておくのもおすすめです。ふと目に入るたびに、自分の目標を思い出しやすくなり、気持ちを切り替えるきっかけになります。

行動のリズムを決める

そして何より、モチベーションに左右されずに勉強を続けるためには、「勉強するタイミングを決めておく」ことが効果的です。

たとえば、「夕飯の後は30分だけ英語の復習をする」「毎晩9時になったら机に向かう」といった具合に、あらかじめ“やる時間”を生活の中に組み込んでしまうのです。これは、最初は多少意識的にやる必要がありますが、続けていくうちに習慣化され、「やらないと落ち着かない」感覚に変わっていきます。

また、「勉強を始めるときは5分だけ読書してからスタートする」「いつも同じ音楽をかける」など、スイッチを入れるための“儀式”を作るのも効果的です。行動のリズムを決めることで、やる気がある日もない日も、安定して勉強を進められるようになります。

このように、「やる気があるから勉強する」ではなく、「やるべきことをやれる環境と習慣を先につくっておく」ことが、長く続けるための大きな鍵になります。受験勉強は長期戦です。だからこそ、毎日を整えることが、遠回りのようで実は一番の近道かもしれません。

保護者ができるサポート

自宅で勉強する女子生徒

受験勉強は、子ども本人が頑張るものである一方で、保護者の存在は、その“土台”を支える大きな力になります。ですが、子どものやる気を高めようと声をかけたつもりが、逆にプレッシャーになってしまったり、無言で見守っていたら「放っておかれている」と感じさせてしまったり……。どのような関わり方がベストなのか悩む保護者の方も多いのではないでしょうか。

ここでは、子どもが前向きに勉強に取り組めるよう、家庭でできるサポートのヒントをご紹介します。

「結果」よりも「過程」を認める声かけを

テストの点数や偏差値など、目に見える結果に目が向きがちですが、子どもの努力の過程に注目し、認めてあげることが、最も効果的な声かけです。

たとえば、
「よく頑張ってるね。毎日机に向かってるの、ちゃんと見てるよ」
「この間より勉強の時間が増えたね。自分でも成長を感じてるんじゃない?」
といった言葉は、子どもにとって大きな励みになります。

大切なのは、「成果に対する評価」ではなく、「取り組んでいる姿勢への共感や承認」。それが、自己肯定感を育み、次のやる気につながっていきます。

子どもを“管理”するより、“環境”を整える

「ちゃんと勉強してるの?」「もうゲームはやめなさい」といった管理型の声かけは、反発やストレスを生みやすく、親子関係をギクシャクさせてしまうこともあります。そこで意識したいのが、“直接口を出す”のではなく、“間接的に環境を整える”というスタンスです。

たとえば、

  • 静かに集中できるスペースを確保してあげる
  • 食事や睡眠のリズムをサポートする
  • 塾や図書館への送迎を手伝う

こうした支えは、子どもにとって「応援されている」という安心感を生みます。

また、塾や学校の先生との連携を意識し、子どもが言いにくい悩みをキャッチしておくことも、保護者ならではの大きな役割です。

受験は「マラソン」ではなく、「沿道のサポーター」

受験を前にすると、どうしても「親として何かしてあげたい」「一緒に頑張らなければ」という気持ちが強くなりがちです。でも、本当に必要なのは、子どもが自分の足で走る力を信じ、その横で見守り、必要なときに声をかけたり、水を渡したりする“サポーター”としての関わりです。

子どもが自信を失っているとき、気持ちが沈んでいるとき、寄り添うだけで救われることもあります。言葉よりも、穏やかなまなざしや、変わらない日常の中に安心感を見つける子も多いのです。

子どもが机に向かうことを選び続けられるように、家庭は「安心できる場所」であり続けることが何よりの支えです。無理に励まそうとせず、でも一人にはしない。そんな“ちょうどよい距離感”が、受験期の親子にとって一番のバランスなのかもしれません。

まとめ|受験勉強は長いマラソン。

受験勉強は、短距離走ではなく、長く続くマラソンのようなものです。やる気がある日もあれば、どうしても集中できない日もある。そんな波をくり返しながら、一歩ずつ前に進んでいくのが受験という道のりです。

大切なのは、「やる気が出ない自分」を責めないこと。そして、やる気に頼らずに勉強を続けられる工夫や環境、習慣を少しずつ整えていくことです。今回ご紹介したように、小さな目標を積み重ねたり、勉強記録をつけたり、ごほうびや仲間との関わりを取り入れることで、勉強はもっと“続けやすいもの”に変わっていきます。

保護者の方にとっても、「勉強しなさい」と声をかけることより、日々の努力を認め、そっと支えてあげる姿勢が、子どもにとって何よりの励ましになります。受験は、本人だけの戦いではありません。周囲の支えがあってこそ、最後まで走り切る力が生まれるのです。

塾は、そんな受験生と保護者の皆さんを、いつでも応援しています。
焦らず、立ち止まっても、また歩き出せば大丈夫。
一緒に、最後のゴールまで走り抜けていきましょう。

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この記事を書いた人

櫻學舎は仙台市とさいたま市の定額制個別指導塾です。代表は大手個別指導塾で講師として指名・授業数5年連続No.1。東北大・慶應医学部・上智・学習院など、難関校への合格者を多数輩出。教育現場での知見をもとに、より実践的な学習情報をお届けしています。

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