【宮城版】2026年度スタート「高校無償化」完全ガイド|所得制限撤廃で何がどう変わる?

2026年度から、すべての家庭を対象にした「高校授業料無償化」の新しい制度がスタートします。これまでのように「年収〇〇万円以下」といった所得制限がなくなり、公立・私立を問わず、条件を満たす高校生には最大45万7,000円の支援が受けられるようになります。
「私立高校も実質無料になるの?」「申請は必要?」「授業料以外の費用はどうなる?」——高校進学を控えるご家庭にとって、気になる点は多いかもしれません。
この制度によって、これまで経済的な理由で選択肢が限られていたご家庭でも、進路の幅が大きく広がります。本記事では、2026年度からの高校無償化制度について、仕組みや注意点、家庭で知っておきたいポイントをわかりやすくまとめました。お子さまの進路選びに役立てていただければ幸いです。
高校無償化ってどんな制度?
「高校無償化」は、正式には「高等学校等就学支援金制度」と呼ばれる国の教育支援制度です。この制度は、家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもたちが高校教育を受けられるように、授業料を軽減・無償化することを目的としています。
これまでの制度では、「年収590万円未満程度」の世帯を中心に支援が行われてきました。しかし、2026年度からはこの「所得制限」が撤廃され、すべての世帯を対象に、授業料の一部または全額が支給されるようになります。
支援の金額は以下のように設定される予定です。
- 公立高校:年額11万8,800円(全日制の場合)
- 私立高校:最大で年額45万7,000円まで
ただし、無償化の対象となるのは「授業料のみ」です。入学金・施設費・教材費・制服代などは含まれていません。特に私立高校では、授業料以外の負担が大きくなることがあるため、制度の内容を正しく理解し、進路を考える際の参考にすることが大切です。
また、制度を利用するには「申請手続き」が必要になります。学校からの案内に従い、必要書類の提出や期限の確認をしっかり行うようにしましょう。支援金は、原則として学校が代理で受け取り、授業料に充てられる仕組みです。
2026年度から何が変わるの?

2026年度からの高校無償化制度では、これまでと比べて大きく3つの点が変わります。とくに注目すべきは「所得制限の撤廃」です。以下にその変更点を整理してご紹介します。
① 所得制限がなくなる
これまでの就学支援金制度では、年収が約590万円未満の世帯を中心に支援が行われてきました。ところが、2026年度からはすべての世帯が対象となり、家庭の収入に関係なく授業料の支援を受けられるようになります。
この改正により、「うちは支援の対象じゃないから」と進路を限定していた家庭でも、私立高校を含めて幅広い選択がしやすくなると期待されています。
② 私立高校への支給上限が拡大
2026年度からは、私立高校に通う生徒への就学支援金の上限額が45万7,000円に引き上げられます(年間)。これにより、授業料が比較的高い私立高校でも、支援金でほとんどの授業料がカバーできるケースが増えていきます。
ただし、授業料がこの上限を超える場合は差額を自己負担する必要があります。学校によっては設備費や教育充実費なども別にかかるため、事前に確認しておくことが大切です。
③ 制度の全国一律化が進む
これまでは、都道府県ごとに「独自の加算制度」や「対象範囲の違い」があり、少し複雑でした。しかし2026年度からは、国による全国共通の支援制度として一本化され、制度がよりわかりやすく・公平なものになります。
そのため、転校や引っ越しをした場合でも、制度の内容が大きく変わることなく安心して利用できます。
2026年度は、教育費に関する家庭の負担が大きく軽減される「転換点」ともいえる年です。とはいえ、すべての費用が無料になるわけではないため、次のセクションでは具体的な対象校や条件、注意点なども見ていきましょう。
対象となる学校と条件
高校無償化制度(就学支援金)は、「すべての高校生が自分に合った進路を選べるように」という目的で設けられており、多くの学校種・課程が対象となっています。ただし、対象となるためにはいくつかの「条件」があります。ここでは、対象となる学校の種類と支給を受けるための主な条件を整理してご紹介します。
対象となる学校(公立・私立問わず)
以下の学校に通う生徒が無償化の対象になります。
- 高等学校(全日制・定時制・通信制)
- 中等教育学校(後期課程)
- 特別支援学校の高等部
- 高等専門学校(1〜3年生まで)
- 専修学校の高等課程
つまり、一般的な高校だけでなく、特別支援学校や高専、専修学校の高等課程(例:専門高校や美容学校など)も対象に含まれます。
※ただし、専修学校など一部の施設については、文部科学大臣の指定を受けている必要があります。
対象となる生徒の条件
高校無償化制度の支給を受けるには、以下のような基本条件を満たす必要があります。
- 在籍していること
対象となる学校に、正規の生徒として在籍していること。 - 在学期間に上限あり
通常の修業年限を超える場合(例:留年等)は、追加の支援が受けられない場合があります。 - 就学支援金の申請が必要
無償化は自動では適用されません。原則として、保護者が就学支援金の申請を行う必要があります。申請のタイミングは学校によって異なるため、入学後に学校からの案内を必ず確認しましょう。
制度の対象範囲が広くなったとはいえ、「申請が必要」「授業料以外の費用は別途必要」といったポイントには注意が必要です。次のセクションでは、実際にどのくらい支給されるのか、金額の目安を見ていきましょう。
公立と私立、支給額はどう違う?

高校無償化制度(就学支援金)は、公立・私立を問わず高校に通う生徒を対象に、授業料の負担を軽くするための制度です。しかし、公立と私立では支給される金額に違いがあります。その違いと注意点を解説します。
公立高校:全額カバーされるケースが多い
公立高校の場合、授業料は全国的に年間118,800円(※2025年度現在)と決まっており、この金額がそのまま無償化の対象になります。
- 所得に関係なく支給(2026年度以降は全世帯対象)
- 授業料相当額118,800円が全額支給
- 支給金は学校が直接受け取る(保護者が授業料を払う必要なし)
つまり、公立高校では授業料の実質負担がゼロになります。ただし、入学金や制服代、教材費などは別途必要です。
私立高校:支給額の上限あり
私立高校では、授業料の金額が学校によって異なるため、就学支援金にも上限額が設けられています。2026年度以降は、次のようになります。
- 最大で年間457,000円まで支給
- 学校の授業料が45.7万円を超える場合、その差額は家庭の自己負担
- 入学金や施設費、教材費なども自己負担
例)授業料が40万円の私立高校の場合
→ 支給額40万円 → 実質無償(授業料分はカバー)
例)授業料が50万円の私立高校の場合
→ 上限45.7万円 → 差額4.3万円は自己負担
授業料以外の費用はどうなる?
2026年度からの高校無償化制度では、「授業料」が支援の対象になりますが、それ以外の多くの費用については自己負担が残る点に注意が必要です。「無償化=完全無料」ではない、ということをあらかじめ理解しておくことが、進路選びや家計計画においてとても重要です。
授業料以外にかかる主な費用とは?
学校生活には授業料以外にも、次のような費用が必要です。
入学時にかかる費用(例)
- 入学金(私立:3~5万円、公立:5,650円)
- 制服代(上下・夏服・冬服・体操着などで5~10万円程度)
- 教科書・教材費(年間1〜3万円)
- 学用品(カバン、文房具、上履き、辞書など)
在学中に定期的にかかる費用(例)
- 施設費・冷暖房費(特に私立:年3〜10万円程度)
- PTA会費・生徒会費(年数千円〜1万円程度)
- 修学旅行積立金(月数千円〜、総額10万円前後の場合も)
- 模試・検定料、クラブ活動費 など
私立高校では、授業料が無償化の上限でカバーされたとしても、これらの付帯費用が年間で数十万円にのぼることもあります。
「奨学給付金」など別の支援も検討を
低所得世帯を対象に、「高校生等奨学給付金」という別の制度も用意されています。これは、授業料以外の学用品・教材費などをサポートするものです。
- 対象:住民税非課税世帯など
- 支給額(例):
- 公立:年32,300〜84,000円
- 私立:年52,600〜138,000円(自治体により異なる)
このような制度を利用することで、家庭の負担をさらに減らすことが可能です。ただし、こちらも申請手続きが必要なため、学校や自治体からの案内を見逃さず、期日内の申請を心がけましょう。
実際にいくらかかるのか、学校ごとに違います
入学金や施設費の金額は、学校によって異なります。特に私立高校は、学校ごとに費用構成がバラバラなため、
- パンフレットや募集要項の確認
- 入試説明会・学校見学での質問
- 卒業生や保護者からの情報収集
といった複数の方法で、事前に「トータルでいくらかかるのか」を把握することが大切です。
授業料が無償化されたからといって、すべての学校生活費が無料になるわけではありません。特に私立高校では、授業料以外の費用が大きくなる傾向にあるため、しっかりと調べ、見通しを立てておく必要があります。
宮城県の高校進学と無償化の影響

2026年度から「所得制限なし」の高校授業料無償化が全国的に実施されることで、宮城県内の高校進学に関する動きや家庭の意識にも大きな変化が予想されます。これまで家計負担の面から私立高校を敬遠していた家庭でも、選択肢が広がる時代が本格的に始まります。
私立志望者の増加が見込まれる
これまで「私立は学費が高いから……」と、費用面で選択肢から外していたご家庭も、授業料がほぼカバーされることで進路選択の幅が広がると考えられます。
特に宮城県では、私立高校が独自の教育カリキュラム(例:ICT活用、探究学習、英語特化など)を打ち出しており、無償化によって「内容で選ぶ」動きが進むことが予想されます。
その結果として、
- 私立高校の志望者増加
- 人気校の倍率上昇
- 「特色選抜」や「推薦枠」の競争激化
などが起こる可能性もあります。
公立高校との比較がますます重要に
一方で、宮城県内の公立高校も高い教育水準や進学実績を維持しており、学費負担がほとんどない点で引き続き根強い人気があります。
ただし、無償化によって「費用の差」が縮まった分、保護者・生徒ともに「教育内容・校風・通学環境」など、より総合的な判断を求められるようになります。
家庭の意識変化:学費<学びの質へ
無償化の流れによって、今後の進路選択では以下のような家庭の意識変化が起こると考えられます。
- 「学費より学び」で選ぶ家庭が増加
- 私立にも積極的に説明会参加・情報収集
- 中学時代から進路に向けた準備を強化
このように、高校選びが「お金」から「教育の質と相性」へとシフトしていくことで、家庭の情報収集や進路検討の重要性がさらに増すといえるでしょう。
2026年度からの高校無償化は、宮城県内の公立・私立を問わず、多くのご家庭にとって大きな進路選択の転機となります。費用の壁が取り払われつつある今だからこそ、「どんな学びがある学校か?」を見極めた進路選びが必要になります。
最新情報をチェックするには
高校無償化制度は、年度によって運用の細かな部分が変更されたり、追加の補助制度が新設されたりすることがあります。保護者の皆さまが正しい情報をもとに判断・準備するためには、「最新情報を定期的にチェックすること」がとても大切です。
宮城県立高校の授業料・納付・減免に関すること
宮城県 教育庁 教育財務課 就学支援班
- 【所在地】〒980-8570 仙台市青葉区本町三丁目8番1号(県庁16階北側)
- 【電話番号】022-211-3711
- 【受付時間】平日 8:30~17:15(※土日祝・年末年始は除く)
- 【対応内容】
- 宮城県独自の上乗せ補助金
- 就学支援金・臨時支援金の申請スケジュール
- 就学支援金・臨時支援金の制度全般(公立高校の場合)
県立高校に在籍するお子さんの費用や制度については、まずこちらにお問合せを。
制度全体の仕組みや今後の動向について
文部科学省|高校生等への修学支援制度
- 【Webサイト】文部科学省公式サイト(修学支援制度)
- 【提供情報】
- 高校無償化(就学支援金)制度の概要と改正情報
- 所得制限や支給額などの仕組み
- 2026年度からの「所得制限なし」制度の動向
制度の背景や全国的な方針を知りたいときは、文科省の公式資料が最も信頼できます。
私立高校の学費や支援金に関する問い合わせ
私立高校に関する費用や就学支援金の扱いは各学校ごとに運用が異なる場合があります。
- 【確認先】在籍または志望する私立高校の事務室・経理担当窓口
- 【主な相談内容】
- 授業料の請求スケジュール
- 支援金の「代理受領」か「還付」かの違い
- 学費の内訳(授業料以外の施設費・積立金・教材費など)
出願前でも遠慮なく問い合わせてOK。学校見学や説明会の際に個別相談できるケースもあります。
制度の変更点を正しく理解し、必要な申請をもれなく行うことで、「せっかくの支援が受けられなかった」という事態を防ぐことができます。
お子さまの進路選びを安心してサポートするためにも、保護者として“最新の正しい情報を知っておくこと”が、これからますます大切になる時代です。
まとめ

2026年度からスタートする「高校授業料の完全無償化(所得制限なし)」は、家庭の経済的負担を軽減し、子どもたちがより自由に将来の選択肢を描けるようにする、大きな制度改正です。公立・私立を問わず、授業料の支援が受けられるようになることで、これまで費用面で進路に制限を感じていた家庭にも、新たな可能性が広がるでしょう。
ただし「無償化=完全無料」ではなく、入学金や教材費、通学費などは引き続き家庭での負担が必要です。また、制度の対象や支給額、申請方法などには細かな条件や手続きがあるため、正しい情報を早めに把握しておくことが大切です。
保護者の皆さまにとっては、お子さまの希望や適性に合った進路を安心して選べるように、費用面だけでなく「どのような学びができるか」にもしっかり目を向けていただければと思います。そして、制度を最大限に活かしながら、お子さまの高校生活が充実したものになるよう、一緒にサポートしていきましょう。