「すみません」はNG?間違えやすい敬語の話

こんにちは!櫻學舎の早坂です。
突然ですが――
あなたは「正しい敬語」、本当に使えていますか?
「敬語は苦手…」
「なんとなく丁寧にしゃべってれば大丈夫でしょ?」
そんなふうに思っている方は要注意。
敬語は、中学・高校の国語の成績アップだけでなく、社会人になってからもずっと使う“一生モノの言葉の力”です。
今回は、意外と知らない【謝罪にふさわしい敬語】【多くの人が間違えて使っている敬語】について、徹底的にわかりやすく解説します。
敬語の基本:3種類を正しく使い分けよう
まずは、敬語の基本からおさらいです。
敬語は大きく3種類に分かれます。
種類 | 意味 | 使い方のポイント | 例 |
---|---|---|---|
尊敬語 | 相手の行動を高める | 目上の人に対して使う | おっしゃる、召し上がる、 いらっしゃる |
謙譲語 | 自分の行動を へりくだらせる | 自分を下げて 相手を立てる | 申す、伺う、差し上げる |
丁寧語 | 言葉そのものを丁寧にする | 誰に対しても使える | です、ます、ございます |
尊敬語=相手を立てる、謙譲語=自分を下げる、丁寧語=話し方を整える
この違いを理解すると、敬語の使い分けがスムーズになります。
「すみません」は敬語じゃない!?謝罪の正しい言い方とは

さて、ここで本題。
あなたはミスをしたとき、どんなふうに謝っていますか?
「すみませんでした」と言っていませんか?
実はこれ、敬語としては不十分な謝罪表現なんです。
●「すみません」はただの丁寧語
「すみません」は、「すまない」の丁寧語です。
分類としては丁寧語にすぎず、上司や目上の人、本気で謝る場面では不適切になることがあります。
●もっと丁寧に謝りたいときは?
以下のような表現が、正式な謝罪として適しています。
- 申し訳ありません
- 申し訳ございません
- 大変失礼いたしました
- 恐れ入ります
「申し訳」とは「言い訳」のこと。
「申し訳ありません」は、“言い訳のしようもありません。自分が完全に悪いです”という強い謝罪の気持ちを表します。
また、「ございます」は「丁寧語+丁寧語(ござる+ます)」なので、「申し訳ございません」が最も丁寧な形になります。
「恐れ入ります」は謝罪にも感謝にも使える万能敬語
「恐れ入ります」という表現は、丁寧な謝罪や感謝、お願いごとの際にも使える便利な敬語です。
使用例
- 「恐れ入りますが、もう一度お願いできますか?」
- 「ご迷惑をおかけして、大変恐れ入ります」
「あなたにご迷惑をかけてしまい、申し訳ない」という意味をやわらかく、敬意をこめて伝える表現です。
「ごめんなさい」は敬語ではない?使い方に注意

「ごめんなさい」という言葉もよく使われますが、これは敬語ではありません。
漢字で書くと「御免なさい」。
「御免」とは、“許してください”という意味を持つ表現です。
つまり、「ごめんなさい」は、謝罪というより相手に許しを求める言葉になります。
子ども同士や家族間、カジュアルな場では問題ありませんが、上司・先生・取引先などに使うのは失礼に当たる場合があります。
よくある敬語の間違い①:「させていただきます」の使いすぎ
「説明させていただきます」「確認させていただきます」
ついつい多用していませんか?
「させていただきます」は便利ですが、なんでもかんでも使うのは間違いです。
文化庁の基準では、次の2つの条件を満たすときに使うのが正しいとされています。
正しく使える場合
- 相手の許可や配慮を得て
- 自分がそのことで恩恵を受けている
正しい例:
- 「本日は早退させていただきます」
→ 許可を得ており、自分が恩恵を受けている
不適切な例:
- 「では、説明させていただきます」
→ 相手の許可なしに行動しているので、強引な印象に
この場合は、「ご説明いたします」や「ご案内いたします」で十分です。
よくある敬語の間違い②:「おっしゃられる」はNGな二重敬語
「社長がおっしゃられました」と言ってしまっていませんか?
これは二重敬語という敬語の重ねがけで、現代では誤用とされています。
正しい形:
- 「おっしゃる」
- または「言われる」
同様に間違いやすい二重敬語:
誤り | 正しい表現 |
---|---|
ご覧になられる | ご覧になる |
お越しになられる | お越しになる |
お召し上がりになられる | お召し上がりになる |
※古文では二重敬語が自然なケースもありますが、現代語では避けるのが基本ルールです。
敬語の理解は、古文の学習にもつながる!
今回のように、「申し訳+ござる+ます」のような敬語表現を分解して考えるのは、古文の「品詞分解」と全く同じ作業です。
- 「ご覧になられる」→「ご覧になる+られる」→二重の尊敬
- 「ございます」→「ござる(丁寧語)+ます(丁寧助動詞)」
こうした構造に慣れていくと、古文の敬語表現(給ふ・奉る・候ふ など)もぐっと理解しやすくなります。
櫻學舎では、現代語と古典のつながりを意識しながら、「日本語を深く学ぶ授業」も行っています!
まとめ|敬語は“使える国語力”の証拠
- 「すみません」は敬語としては不十分。謝罪には「申し訳ございません」を!
- 「させていただく」「おっしゃられる」など、よくある誤用に注意
- 敬語の理解は、古文・現代文・社会生活すべてにつながる!
正しい敬語が使える人は、相手に好印象を与えられるだけでなく、国語力も高いと評価されます。
毎日の会話から少しずつ、意識していきましょう!