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中学生の英語力が伸びている?宮城県の英検3級受験率が低い理由と、学校現場の課題とは

授業風景

「中学生の英語力が伸びている」――そんな明るいニュースが、11月9日付の河北新報に掲載されました。文部科学省の調査によると、全国の中学生で英検3級以上に相当する英語力を持つ生徒の割合は年々上昇しており、英語教育の成果が着実に表れているようです。

しかし一方で、記事では宮城県の英検3級受験率が全国平均に比べて低い(約25%)ことも指摘されています。他地域では90%を超える県もある中、この差はどこから生まれているのでしょうか。

背景には、学校で導入が進む「みなし評価」や、授業の重視点の変化など、地域特有の教育事情があるようです。今回は、新聞記事の内容をもとに、宮城県の英語教育の現状と課題、そしてこれからの学び方について考えていきます。

目次

全国的に伸びる中学生の英語力

2人でタブレットを操作する女子生徒

文部科学省が行った全国調査によると、中学卒業時に「英検3級相当以上」の英語力を持つ生徒の割合は年々増加しています。
2015年度は30%前後だったのが、2023年度には全国平均で70%を超えるまでに伸びました。

英語が「聞ける」「話せる」時代へとシフトし、学校教育もこの数年で大きく変わっています。
小学校での英語教科化(2020年度〜)により、早い段階から英語に触れる機会が増えたことが大きな要因のひとつです。

「読む・書く」だけでなく「聞く・話す」へ

これまでの英語教育は、どちらかといえば文法や単語の暗記が中心でした。しかし現在は、「読む・書く・聞く・話す」の4技能をバランスよく育てることを目指した授業へと変わっています。

実際に、英語の授業で生徒同士が英語で質問し合ったり、ALT(外国語指導助手)の先生と会話をしたりする場面が増えています。「自分の言葉で伝える」ことを重視した学習が進んだ結果、英語力そのものは確実に底上げされているのです。

「英語は苦手」から「英語って使えるかも」へ

こうした変化の中で、「英語はテストのための教科」から「世界とつながるツール」へと意識が変わってきています。全国的にも、英語を話すことに抵抗が少ない中学生が増えているとの調査結果も。

英語教育の方向性は確実に前進しています。ただし、その一方で、地域ごとに「英検受験率」や「外部評価の活用度」には大きな差が出ているのも現実です。

宮城県の現状 ― 英検3級受験率25%、全国との差

勉強する生徒の手元のアップ

全国的に中学生の英語力が伸びている中で、宮城県の英検3級受験率は全国平均に比べて低いことが、今回の記事で大きく取り上げられました。文部科学省の調査では、宮城県内の中学生で英検3級以上を受験した生徒の割合は約25%。一方、他の地域では90%を超える県もあり、その差は実に3倍以上にもなります。

なぜ宮城では英検受験率が低いのか?

記事によると、その背景には「みなし評価」という制度があります。これは、学校の授業内で一定の成績を収めた生徒について、「英検3級相当の英語力がある」と判断して、実際に受験しなくても“同等の力がある”とみなす仕組みです。

この制度自体は、生徒の負担を減らし、日常の学習の中で英語力を評価するという点で意義のある取り組みです。しかしその一方で、「実際に試験を受けてみる経験」や「客観的な評価を得る機会」が減ってしまうという課題もあります。

学校現場では「やりとり重視」へ

新聞記事では、県内の英語教師の声も紹介されています。教師たちは、単語や文法の暗記ではなく、「英語でのやりとり(コミュニケーション)」を重視する授業に力を入れ始めています。

例えば、ALT(外国語指導助手)との会話練習や、発表活動、意見を英語で述べる授業など。「話せる英語」「使える英語」を育てる取り組みは確かに進んでおり、英語への苦手意識が薄れてきている生徒も増えています。

「力はあるのに、形に残らない」現実も

一方で、「英語力は伸びているのに、それを証明する資格がない」という現実もあります。英検や他の外部試験を受けていないと、高校入試や推薦入試での“評価の見える化”が難しいケースも。学校教育としては成果が出ていても、外部的な実績としては伝わりにくいというギャップが生まれているのです。


このように、宮城県の中学生は「英語力そのもの」は確実に伸びています。しかし、「評価」や「受験率」という形で見ると、全国との差がまだ大きいのが現状です。では、こうした“みなし評価”にはどんなメリットと課題があるのでしょうか?次の章では、そのポイントを整理していきます。

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“みなし評価”のメリットと課題

授業風景

「英検を受けなくても、授業の成果で“同等の力”があると認める」――
そんな“みなし評価”の仕組みは、近年多くの学校で広がりつつあります。一見すると便利な制度ですが、実はメリットと課題の両面があります。

メリット①:生徒の負担を減らせる

英検を受けるには、受験料の負担や試験日の調整、対策勉強の時間確保など、思っている以上に準備が必要です。特に中学生にとっては、定期テストや部活動との両立が難しく、「受けたいけれどタイミングが合わない」というケースも多く見られます。

そんな中で導入された「みなし評価」は、学校の授業や定期テストの成果をもとに英検3級相当の力を認める制度です。これにより、生徒は英検を別途受験しなくても、授業内で力を評価してもらえるようになりました。この仕組みの最大のメリットは、やはり“負担の軽減”です。

  • 試験日の調整や受験料の心配がいらない
  • 英検対策に追われず、授業の理解に集中できる
  • 英語が苦手な生徒も「授業の頑張り」で評価される

このように、日常の学びを評価の対象にできることで、「試験に縛られすぎない英語学習」が実現します。

また、先生から見ても、毎日の授業の中で生徒の「話す・聞く・書く・読む」の力を見取ることで、よりきめ細やかな評価ができるという利点もあります。特に、テストでは緊張して実力を発揮できないタイプの生徒にとって、授業中のやりとりや課題提出がそのまま評価につながるのは、大きな安心材料です。

メリット②:日常の学びを正しく評価できる

みなし評価のもう一つの大きな利点は、“ふだんの学びそのもの”をしっかり評価できることです。英語の実力は、テストの点数だけでは測りきれません。授業中に積極的に英語で発言したり、ALT(外国語指導助手)とのやりとりで伝えようとしたり――。そうした小さな積み重ねの中に、確かな成長が表れています。

従来のように「英検を受けて結果を出す」だけでは、こうした“教室の中で伸びている力”が評価されにくいという問題がありました。しかしみなし評価では、先生が日常的に生徒の発言や提出物を見て、「理解しているか」「伝えようとしているか」を総合的に判断します。そのため、試験一発勝負では見えない部分まで含めて、生徒の努力を認めることができるのです。

また、この仕組みは“4技能”(読む・書く・聞く・話す)を重視する今の英語教育にも合っています。授業でのスピーキング活動やリスニング練習、ペアワークのやりとりなど、テストに出ない部分の努力もきちんと評価対象に入るからです。

たとえば…

  • 授業中に英語で意見を言おうとする姿勢
  • 書く課題で語彙や表現が増えている
  • リスニングテストで反応が速くなった

こうした“成長のプロセス”を評価できるのが、みなし評価の大きな魅力です。つまり、みなし評価は「点数」ではなく「変化」を見る仕組み。努力の過程をしっかり見取ってもらえることで、英語学習に対するモチベーションも上がりやすくなります。ただしその一方で、「授業では頑張っていても、外部的な証明として残らない」という課題もあります。

課題①:「力があるのに証明できない」

みなし評価の大きな弱点は、「英語力を客観的に証明しにくい」という点です。たとえば、授業中に積極的に発言していたり、スピーキングが得意だったとしても、それを示す「英検○級合格」や「スコア」という“形ある証拠”がなければ、高校入試や推薦入試の場面で評価に反映されにくいことがあります。

英語教育の目的は「点数を取ること」ではなく「使える力を育てること」。しかし、入試や進学の現場では、いまだに外部試験のスコアや資格が大きな判断材料として使われています。

そのため、みなし評価で「力はある」と先生から認められていても、それを入試資料や提出書類の中で具体的に示せないというギャップが生まれてしまうのです。英語力は、本人が自覚していなくても少しずつ確実に伸びています。でも、その力を「他者に伝わる形」で残しておくことも大切です。

  • 英検やGTECなどでスコアを取る
  • スピーキングテストを受けて記録を残す
  • 模試での英語偏差値を把握しておく

こうした取り組みは、単なる資格取得ではなく、“自分の成長を見える化する”という意味があります。

櫻學舎でも、生徒が「今の自分の英語力をどれくらい伸ばせたか」を実感できるよう、英検や各種テストを“チャレンジのきっかけ”として活用しています。試験という目標があると、学習のペースも自然と整い、「努力が形になる達成感」が生まれます。

みなし評価によって日常の努力が認められるのはすばらしいことです。しかし、「外に伝わる実績を持つこと」も同じくらい大切です。これからの英語教育では、「授業で育てる力」と「試験で確かめる力」、その両方を意識した学びが求められています。


課題②:学校間で評価の基準が違う

みなし評価には、「授業での努力や発言などを通して英語力を判断できる」というメリットがあります。しかし、その評価方法が学校ごとに違っているというのが、現在の大きな課題です。

ある学校では「授業中に英語で積極的に発言していればOK」とされる一方、別の学校では「定期テストで一定の点数以上を取らなければ対象外」となるなど、みなし評価の基準が統一されていないのが現状です。

また、先生によっても重視するポイントが異なります。ある先生はスピーキングを中心に見ているのに対し、別の先生は文法やリーディング力を重視している。そんな違いも少なくありません。

もちろん、英語教育が“多様な力”を評価しようとしているのは良いことです。英語の力は一つではなく、「読む・書く・聞く・話す」のどれもが大切だからです。しかし、基準が明確でないまま進むと、「どこまでできれば英検3級相当なのか」が曖昧になり、生徒や保護者が自分の実力を客観的に把握しにくくなってしまいます。

こうした状況の中で大事なのは、「自分はどのレベルにあるのか」を自分自身で知ること。みなし評価で“相当”とされたとしても、実際に英検やGTECなどを受けてみることで、全国基準の中で自分の英語力を確認することができます。学校によって評価の方向性が違っても、自分の基準を持っていれば、次に何を学ぶべきかが見えてきます。

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今後の英語教育に求められる視点

指導風景2

全国的に中学生の英語力は確実に伸びています。しかし、「どのように評価するか」「どんな力を育てるか」という点では、まだ地域や学校によって差があるのが現状です。これからの英語教育では、単なるテスト対策ではなく、“英語を使いこなす力”を育てることが求められています。そのために大切なのは、次の3つの視点です。

① 実力」と「資格」をバランスよく育てる

これからの英語学習で最も大切なのは、「実力」と「資格」のどちらか一方に偏らないことです。授業の中で身につける“使える英語力”と、英検などで示される“客観的な英語力”は、どちらも欠かせない両輪です。どちらか片方だけでは、真の「英語力」とは言えません。

たとえば、授業でALTと英語で話す練習を重ねることで、「聞く」「話す」といったコミュニケーションの力が育ちます。一方で、英検や模試に挑戦することで、「読む」「書く」といった正確な表現力や語彙力を確認することができます。

この2つは別々の力に見えますが、実はお互いを高め合う関係にあります。授業で学んだ表現を英検のライティング問題で使えるようになったり、英検対策で覚えた単語を授業中に使ってみたり——。そうした循環が、英語の総合力を大きく伸ばしてくれるのです。

櫻學舎でも、英検を「テスト対策」としてではなく、“学びを深める目標”として活用しています。授業で培った実力を試す機会として英検を受けることで、「できるようになった」という達成感が生まれ、モチベーションにもつながります。

【ポイント】

  • 授業=英語を“使う”力を育てる時間
  • 英検=英語を“確認する”時間

両方を意識して取り組むことで、学びのサイクルがより効果的になります。

英語は“教科”であると同時に、“言葉”でもあります。学校で育てる「実践力」と、資格で確かめる「基礎力」。その両方をバランスよく伸ばしていくことが、これからの英語学習に求められる姿です。

② 学校・家庭・塾の連携を強める

英語力を伸ばすためには、「学校だけ」「塾だけ」ではなく、家庭も含めた“学びのつながり”が大切です。英語は、授業中に学ぶだけでは定着しにくい教科です。単語・文法・リスニング・スピーキングなど、幅広い力を必要とするからこそ、学校・家庭・塾がそれぞれの役割を果たし、学びを支え合うことが欠かせません。

学校の役割:基礎と実践のバランスを育てる

学校では、文法や語彙などの基礎知識を学びながら、ALTとの会話やスピーチ発表などを通じて「英語を使う」経験ができます。つまり、学校は“英語を学ぶ場”であり、“挑戦の場”でもあるのです。

家庭の役割:習慣をつくる・興味を育てる

家庭では、英語を「日常の中に少し取り入れる」ことが大切です。

たとえば:

  • 英語の音楽を聴く
  • 英語の字幕付きで動画を見る
  • 学校の授業内容を親子で一緒に話題にする

こうした小さな積み重ねが、“英語を身近に感じる感覚”を育てます。机に向かう勉強だけでなく、自然に英語に触れる時間を作ることが大きな力になります。

塾の役割:理解を深め、実力を定着させる

塾では、学校で学んだ内容を整理・復習し、弱点を補いながら「できる」を確実な力に変えていきます。さらに櫻學舎では、英検やスピーキング練習など“実践型の英語”も重視しています。

学校の授業と家庭学習の間をつなぐ存在として、塾は「学びを継続させるリズム」を支える役割を担っています。

英語の上達は、「授業で学ぶ → 家で触れる → 塾で定着させる」というサイクルの中で起こります。
それぞれの場所で英語に触れる時間を増やすことで、単語や表現が自然と頭に残り、「聞ける・話せる・書ける」力がついていきます。

【ポイント】

  • 学校で「インプット」
  • 家で「興味と習慣づけ」
  • 塾で「定着とステップアップ」

この3つの流れがうまくつながると、英語学習は一気にスムーズになります。

櫻學舎では、学校での授業内容や宿題の進み具合をチューター面談で確認しながら、家庭と連携して生徒一人ひとりに合った学習ペースを整えています。“教える場”としてだけでなく、学校・家庭・生徒をつなぐ架け橋としてサポートしていくことが、櫻學舎の英語教育の大きな特徴です。

③ 「みなし評価」依存からの脱却

「授業の中で評価してもらえるから大丈夫」「英検は受けなくても平気」――。こうした“みなし評価”への安心感が、生徒の挑戦意欲を弱めてしまうケースもあります。みなし評価は確かに、日常の努力を正しく評価するための良い制度です。しかし、それに頼りすぎてしまうと、「自分の英語力を客観的に示す機会」や「挑戦の場」が少なくなってしまうのです。

“評価される”から“挑戦する”へ

英語学習で本当に大切なのは、誰かに評価されることではなく、自分から挑戦すること。その一歩が、将来の進路にも自信にもつながっていきます。英検などの外部試験を受けることは、「できる・できない」を測るためではなく、“今の自分の英語を確かめる”ための大切な経験です。

たとえば…

  • 「3級を取る」と目標を立てて勉強する
  • 結果をもとに次のステップを考える
  • 試験の緊張を“本番慣れ”の練習にする

こうしたサイクルを繰り返すことで、英語力は着実に伸びていきます。

英検を受けたことがきっかけで、「英語って思ったよりできるかも」と感じる生徒は少なくありません。点数や合否に関係なく、「挑戦した経験」そのものが成長につながるのです。一方で、みなし評価だけではそのような“実践の場”が得にくく、自分の力を客観的に知るチャンスも限られてしまいます。

みなし評価は、「英語学習の通過点」として捉えるのが理想です。授業で学んだことをもとに、外部試験やスピーキングテストで力を試してみる。その挑戦を重ねることで、英語が“教科”から“自分の言葉”へと変わっていきます。

櫻學舎では、こうした挑戦の機会を積極的に応援しています。「合格」にこだわるのではなく、“挑戦の過程”を大切にする学びを通して、生徒が自分の成長を実感できるサポートを続けています。

まとめ|英語力を“使える力”に変えるために

ガッツポーズをする講師と生徒

全国的に見れば、中学生の英語力は確実に伸びています。宮城県でも、生徒たちが「英語で話す・聞く」力を少しずつ身につけ、学校現場では新しい学びが着実に広がっています。

一方で、「みなし評価」によって授業内の努力が認められるようになった反面、英検など外部試験を受ける機会が減り、“力はあるのに形として残らない”という課題も見えてきました。

これからの英語教育で求められるのは、「授業で実力を育てる」+「資格で力を確かめる」という2つのバランスです。

  • 学校では、使える英語・伝わる英語を学び
  • 家庭では、英語に親しむ環境をつくり
  • 塾では、理解を深めて挑戦のきっかけをつくる

この3つがうまくつながることで、英語は“テストのための教科”から“自分を表現する言葉”へと変わっていきます。

櫻學舎では、「みなし評価」の良さを生かしながらも、生徒が自分の力を外に示せる“挑戦”を大切にしています。英検・スピーキング練習・リスニングトレーニングなど、“使える英語力”を身につけるための学びをサポートしています。

英語を学ぶ目的は、「点を取ること」ではなく、“伝わる”こと、“使える”こと。

努力を続けるすべての生徒が、自分の言葉で世界とつながれるように——。
櫻學舎は、これからもその力を育てていきます。

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この記事を書いた人

櫻學舎は仙台市とさいたま市の定額制個別指導塾です。代表は大手個別指導塾で講師として指名・授業数5年連続No.1。東北大・慶應医学部・上智・学習院など、難関校への合格者を多数輩出。教育現場での知見をもとに、より実践的な学習情報をお届けしています。

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