こんにちは、櫻學舎の高橋です。
今回は聞いたことあるけれどよくわからないスーパーグローバルハイスクール(SGH)について調べてみました。
スーパーグローバルハイスクール(略称:SGH)とは、国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高等学校を文部科学省が指定する制度。 語学力だけでなく、社会の課題に対する関心や教養、コミュニケーション能力、問題解決能力などを身に付けたグローバル・リーダーの育成を目指している。
要するに国際人を育成しましょうってことですね。
昨今はIT技術の躍進により数年後には今ある仕事の多くがなくなり、また人材も賃金の安い外国人労働者が雇われると言われています。
事実、仙台の街中を歩いていても数mおきに外国の方に遭遇します。
東京では外国人に囲まれることもしばしばあります。
そんな国際状況の急激な変化に対応しようと創設されたのが、今回ご紹介するスーパーグローバルハイスクール(SGH)です。
なんか壮大な名前ですね。
ですが、その中身はどうなのでしょう。
以下が文科省が開示しているSGHの概要です。
1.目的
急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ,社会課題に対する関心と深い教養に加え,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身に付け,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する。2.事業概要
国際化を進める国内の大学のほか,企業,国際機関等と連携して,グローバルな社会課題を発見・解決し,様々な国際舞台で活躍できる人材の育成に取り組む高等学校等を「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定し,質の高いカリキュラムの開発・実践やその体制整備を進める。3.指定期間:5年間(平成28年度~32年度を予定)
4.対象学校:国公私立高等学校及び中高一貫教育校(中等教育学校,併設型及び連携型中学校・高等学校)
出典:文科省HP
指定期間を見ると、今年から5年間を目安に国際人材の育成を目標としているようです。
SGH自体は2014年あたりから始まっているので、この概要は恐らく今年からSGHに指定された学校のものですね。
なぜに「スーパー」を入れるのか分かりませんが、目的にある「社会課題に対する関心と深い教養に加え,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身に付け」という部分には私も同意します。
海外で仕事をするためには英語力が必要だとよく言われ、TOEICで900点を目指す人がいますが、そうではないです。
海外で活躍するために必要なのは英語力ではなく社会のあらゆる課題を解決する「問題解決能力」です。
英語はただのツールでしかありません。
極論で言えば、国際人になるためには英語は必要最低限理解できれば問題はないと思います。
とはいえ、英語を話せる話せないでは選択肢の幅も違います。
そんな方のために当塾では英会話サロンも提供しているので、気になる方はどうぞ。
そんなGSHは宮城県以外の他東北地域でも指定されている学校があります。
以下が東北でSGHに指定されている学校です。
・青森県青森高等学校
構想名:ロジスティクス戦略を視野に入れた人材育成プログラムの研究開発・岩手県立盛岡第一高等学校
構想名:イーハトーブ世界(万人の幸福を希求するグローバル社会)の開拓者の育成・秋田県立秋田南高等学校
構想名:「こまちの里」秋田の高校生が「地球村」の食糧問題解決に挑む!・宮城県気仙沼高等学校
構想名:海を素材とするグローバルリテラシー育成~東日本大震災を乗り越える人材をめざして~・仙台白百合学園中学・高等学校
構想名:白百合が開発するグローバル・サーバント・リーダープログラム・宮城県仙台二華中学校・高等学校
構想名:北上川,メコン川をフィールドとした世界の水問題解決への取組・福島県立ふたば未来学園高等学校
構想名:原子力災害からの復興を果たすグローバルリーダーの育成
カタカナの構想名が多いですね。
内容も身近なものから壮大なものまで様々です。
SGH自体が国際人の育成・輩出を目的としているのでこういった表現の仕方になるのは仕方ないと思いますが、もう少し分かりやすく説明してほしいと思います。
ちなみに全国ではSGHに123校(国立12校,公立73校,私立38校)が指定されています。
SGHについて調べてみると、その中でも品川女子学院の取り組みがすごいということが分かりました。
国公私立の別 | 私立学校 |
---|---|
設置者 | 学校法人品川女子学院 |
設立年月日 | 1926年 |
創立者 | 漆雅子 |
共学・別学 | 男女別学(女子校) |
中高一貫教育 | 完全一貫制 |
課程 | 全日制課程 |
単位制・学年制 | 学年制 |
設置学科 | 普通科 |
品川女子学院は私立学校ですが、創設当時から単なるお嬢様学校ではなく女性が社会で働き続けることができる「技術」を育むために実践的な教育指導を行っている学校です。
教育理念は「私たちは世界をこころに、能動的に人生を創る日本女性の教養を高め、才能を伸ばし、夢を育てます」。
一時期、中一の生徒数が東京でありながら5人という危機的状況にも陥りましたが、漆 紫穂子学院長就任時に総合的学校改革に着手した結果、わずか7年で入学希望者が60倍、偏差値が20ポイントアップという今注目されている学校です。
この品川女子学院はSGHにも指定されており、その取り組みが話題となっています。
みなさま、Evernote社はご存知でしょうか?
そう、ビジネス系の管理アプリ「Evernote」を開発した会社です。
Evernoteは全世界で1億人のユーザーがいる、超ヒットアプリです。
もちろん僕も使用しています。
品川女子学院ではこのEvernote社のCEO、フィル・リービン氏を講師に迎えています。
これは、どの上場企業であってもなかなか実現できない事です。
下記がフィル・リービン氏が当日話したトピックです。
1.自分よりも賢い人を周りにおくこと
2.大切な友人たちを大切にし続け、育むこと
3.市場や他人が何を望むかではなく、自分自身は何が欲しいかを考えて、ものをつくること
出典:lifehacker
また、この講演の中で女子高生から発せられた意見が、その場でエンジニアに共有されるという場面もあったとのことです。
その場にいた人は外資系企業の柔軟性に驚かれたのではないでしょうか。
内容が気になる人はリンクを載せておきますので、時間がある時に見てみてください。
lifehacker:EvernoteのCEOが品川女子学院の生徒に教えた、人生に役立つ3つの教訓
実際に世界をけん引しているグローバルリーダーの話ができるなんて、意識が高い学生にとってはこの上ない体験だと思います。
品川女子学院は高校2年生全員が米アップルの小型タブレット「iPad mini(アイパッドミニ)」を持つ。今年4月から学校が1人1台の貸与を始めた。学内だけでなく、通学途中や自宅でも使え、教育現場や部活動などの課外活動などにフル活用している。例えば数学科の教員は、代数や幾何などつまずきがちな分野をテーマ別に細かく分けて動画を作成。これを全学共同で使っている「エバーノート」に投稿している。授業でわかりにくかった部分を、個々の生徒がタブレットを使った予習・復習で補うといった使い方をしている。
スマホ依存などと世間では騒がれていますが、現在のITの躍進は教育サイドも無視できない状況です。
「スマホは勉強に害だ!」と蓋をするのではなく、ITを教育にも活用している好例が上記の品川女子学院の取り組みです。
Evernote社のフィル・リービン氏の講演も紹介しましたが、品川女子学院では企業がビジネスで活用する「Evernote for business」を積極的に採用しています。
Evernoteを使えば情報の共有は簡単です。
上記にあるように生徒がつまづきがちなところを動画で保存しておくことで、同じ個所でひっかかっている多数の生徒に即座に情報の共有ができます。
また、動画なのでプリント作成の手間がない、一度話したことをもう一度別の生徒に説明しなくていい、削除されない限り永続的に残すことができる、などのメリットがあります。
これは学校サイドとしても無駄な紙の削減、仕事の効率化が図れて良いのではないでしょうか。
ヤフーは品川女子学院と連携し、“Yahoo!検索 女子中高生企画会議”というコラボレーション授業を5月9日から6月24日まで実施する。品川女子学院の中等部3年生および高等部1年生の44人に検索で何が行なわれているかサービスの仕組みを全5回の授業をとおして学び、いっしょに「こんな検索があったらいいな」というヤフー検索の企画を考えようというヤフーによる特別授業だ。
出典:週刊アスキー
品川女子学院はやほ―、いやヤフージャパンとも連携して新しいプロジェクトを立ち上げています。
その名も「Yahoo!検索 女子中高生企画会議」。
上記にあるように、女子高生の「こんな検索があったらいいな」とヤフージャパンのスタッフと一緒に考えようという取り組みです。
実はこれ、ただの授業じゃないんです。
ヤフー側にとっても今回のプロジェクトは立派なマーケティングの一部でやっていると思います。
例えば「LINE」。
LINEは最初ユーザーテストをしていた時、当初のターゲットとする主婦層からは良い意見をもらえなかったそうです。
ですが、その中でも女子高生からは反応がよかったという理由でサービスをリリースしたところ、現在は日米同時上場を控えるまでに成長しました。
こうゆうのを「女子高生マーケティング」とも言います。
今回のヤフーと品川女子学院の取り組みは、双方ともメリットがあるプロジェクトですね。
ここで、宮城県のGHSに指定されている各学校の情報を調べてみました。
仙台二華中・高等学校の構想名は「北上川,メコン川をフィールドとした世界の水問題解決への取組」です。
姉妹校があるからなのか、なぜにメコン川で「水問題」に取り組むのか分かりませんが、構想図は以下の通りです。
各大学や研究機関、各法人との連携、海外研修、英語論文の作成など、SGHならではだと思われるカリキュラムが準備されているようです。
白百合学園のSGHの構想は「白百合が開発するグローバル・サーバント・リーダープログラム」です。
HPは立派ですが、詳細は記載されていません。
気仙沼高等学校のSGHの構想名は「海を素材とするグローバルリテラシー育成~東日本大震災を乗り越える人材をめざして~」です。
詳しい内容は書かれていませんが、「地域理解講座」という名目で2回ほど勉強会を開催しているようです。
第一回講師
「海と産業」気仙沼商会社長 高橋正樹氏
「海と文化」リアスアーク美術館 学芸係長 山内宏泰氏
「海と防災」気仙沼市総務部危機管理課 村上充氏
第二回講師
「海と人間」気仙沼市震災復興企画部震災復興企画課長 小野寺憲一氏
「三陸の自然」前気仙沼市教育長 白幡勝美氏
スーパーグローバルハイスクール(SGH)、取り組んでいる学校はやはり他の学校ではないような教育を実践しています。
今回調べた宮城県の3校に関しては、詳細な情報がなかったのが少し残念です。
ですが、SGHの目的である「急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ,社会課題に対する関心と深い教養に加え,コミュニケーション能力,問題解決力等の国際的素養を身に付け,将来,国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する。」には私自身とても賛同しますし、これからどんな人材が輩出されてくるのか楽しみです。
我々塾業界の一員としても、保護者のみなさまとしてもSGH指定校は名前だけでなく、実際にグローバルリーダーを輩出できるように関係者の方は熱意を持って取り組んでほしいと思います。
今回の情報は2014年のものですが、これからの宮城県内のSGHにも注目していきたいと思います。
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